NIST により2013/5/14 に、 RHEL6.1 - 6.4 をはじめとする Linux ディストリビューションに、perf のバグをついて権限昇格される脆弱性があることがアナウンスされました。
Vulnerability Summary for CVE-2013-2094
影響範囲が大きいと思いますので、情報をまとめておきました。
Exploit Code:semtex.c
手元のCentOS 6.4 で試したところ、rootを取ることが出きました。
Does CVE-2013-2094 affect Red Hat Enterprise Linux and Red Hat Enterprise MRG?
解決策として、Systemtap スクリプトを guru モードで動作させ、動的にパッチを当てる手法が掲載されています。
RedHat Bugzilla CVE-2013-2094
書き込み「Petr Matousek 2013-05-14 19:36:43 EDT」において、上記のexploit:semtex.cでroot権限昇格についての詳しい説明があります。ありがたや。
IT media「Linuxに権限昇格の脆弱性、エクスプロイトも出まわる」
原因となったコミット
修正コミット
2013/05/16
2013/05/09
Qemu のトレース新機能 "ftrace backend" 紹介
はじめに
Qemu のトレース新機能 "ftace backend" は Linux 標準のトレース機構 ftrace を使って Qemu と Linux Kernel(KVM) のトレース情報を併せて取得する機能です。Qemu で KVM を使う場合は、ユーザ空間(Qemu)とカーネル空間(Kernel)を頻繁に遷移するため、両空間のトレース情報を併せて取得できると、デバッグや性能解析がよりはかどります。
ftrace backend の実装には ftrace marker が用いられています。ftrace marker は debugfs の marker file への書き込みを ftrace のリングバッファに送る機能です。Qemu ftrace backend は、Qemu のトレース情報出力先を marker file にすることで実現しています。
関連コミット:
trace: Add ftrace tracing backend
2013年5月3日に Qemu Mainline にマージされました。おそらく Qemu 1.5 で使用できるはずです。Author の名前が自分と酷似していますが。。。
使い方
ftrace backend を使うためには、まず configure 時に trace backend として "ftrace" を指定する必要があります。
このままでも ftrace backend はトレース情報を debugfs の trace file に記録できますが、今回は KVM を使うのでKVM 関係のトレースイベント情報も併せて取得するよう設定します。
Qemu 起動時に、取得対象の Qemu trace イベントを指定します。
Qemu のトレースイベント一覧は Qemu ソースコードの trace-events ファイルに記載されています。また、 Qemu monitor から "info trace-events" コマンドによっても取得できます。
ここでは、すべてのイベントを取得するような設定にします。
得られるトレース出力は以下のようになります。
libvirt で使う場合
libvirt で ftrace backend を使う場合は、libvirtd の設定ファイルを以下のように変更し、Qemu を起動するユーザを root にする必要があります。
/etc/libvirt/qemu.conf に以下を追加:
余談
ftrace marker を使うためのライブラリがあれば、もっとftrace backend のコードを短くできますし、他のアプリケーションでも手軽に ftrace marker が使えるようになって便利です。ライブラリ名は、"libftrace" などという名前になるのでしょうか。
最近、ftrace は snapshot 機能や、multiple buffer 機能が追加されています。ユーザ空間のプログラム内からそれらの機能を利用するライブラリがあるとさらに嬉しいです。
Qemu のトレース新機能 "ftace backend" は Linux 標準のトレース機構 ftrace を使って Qemu と Linux Kernel(KVM) のトレース情報を併せて取得する機能です。Qemu で KVM を使う場合は、ユーザ空間(Qemu)とカーネル空間(Kernel)を頻繁に遷移するため、両空間のトレース情報を併せて取得できると、デバッグや性能解析がよりはかどります。
ftrace backend の実装には ftrace marker が用いられています。ftrace marker は debugfs の marker file への書き込みを ftrace のリングバッファに送る機能です。Qemu ftrace backend は、Qemu のトレース情報出力先を marker file にすることで実現しています。
関連コミット:
trace: Add ftrace tracing backend
2013年5月3日に Qemu Mainline にマージされました。おそらく Qemu 1.5 で使用できるはずです。Author の名前が自分と酷似していますが。。。
使い方
ftrace backend を使うためには、まず configure 時に trace backend として "ftrace" を指定する必要があります。
# ./configure --trace-backend=ftrace
このままでも ftrace backend はトレース情報を debugfs の trace file に記録できますが、今回は KVM を使うのでKVM 関係のトレースイベント情報も併せて取得するよう設定します。
# echo 1 > /sys/kernel/debug/tracing/events/kvm/enable
Qemu 起動時に、取得対象の Qemu trace イベントを指定します。
Qemu のトレースイベント一覧は Qemu ソースコードの trace-events ファイルに記載されています。また、 Qemu monitor から "info trace-events" コマンドによっても取得できます。
ここでは、すべてのイベントを取得するような設定にします。
% cat /home/eiichi/events *Qemu を起動します。ftrace を使うため、必ず root 権限で起動しましょう。
# ./qemu-system-x86_64 -enable-kvm -trace events=/home/eiichi/events
得られるトレース出力は以下のようになります。
# less /sys/kernel/debug/tracing/trace snip... qemu-system-x86-23226 [002] d... 116142.685922: kvm_entry: vcpu 0 qemu-system-x86-23226 [002] d... 116142.685923: kvm_exit: reason IO_INSTRUCTION rip 0xc45b info 700040 0 qemu-system-x86-23226 [002] .... 116142.685924: kvm_pio: pio_write at 0x70 size 1 count 1 qemu-system-x86-23226 [002] .... 116142.685925: kvm_userspace_exit: reason KVM_EXIT_IO (2) qemu-system-x86-23226 [002] ...1 116142.685943: tracing_mark_write: cpu_set_apic_base 00000000fee00900 qemu-system-x86-23226 [002] ...1 116142.685946: tracing_mark_write: kvm_run_exit cpu_index 0, reason 2 qemu-system-x86-23226 [002] ...1 116142.685947: tracing_mark_write: cpu_out addr 0x70 value 143 qemu-system-x86-23226 [002] ...1 116142.685951: tracing_mark_write: kvm_vcpu_ioctl cpu_index 0, type 44672, arg (nil) qemu-system-x86-23226 [002] d... 116142.685954: kvm_entry: vcpu 0 snip...tracing_mark_write と書かれているのが、Qemu(ユーザ空間)のトレース情報です。ここでは、ゲストCPUのIO port write命令を受けて VM_EXIT(reason KVM_EXIT_IO) したのちユーザ空間でエミュレーションが行われているのがわかります。
libvirt で使う場合
libvirt で ftrace backend を使う場合は、libvirtd の設定ファイルを以下のように変更し、Qemu を起動するユーザを root にする必要があります。
/etc/libvirt/qemu.conf に以下を追加:
user = "root"
余談
ftrace marker を使うためのライブラリがあれば、もっとftrace backend のコードを短くできますし、他のアプリケーションでも手軽に ftrace marker が使えるようになって便利です。ライブラリ名は、"libftrace" などという名前になるのでしょうか。
最近、ftrace は snapshot 機能や、multiple buffer 機能が追加されています。ユーザ空間のプログラム内からそれらの機能を利用するライブラリがあるとさらに嬉しいです。
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