qemu 1.4 では Websocket プロトコル上で VNC を実現する機能が実装されました。
Qemu/Changelog/1.4
従来、ブラウザ(Websocket)でVNCを利用する場合、Websockify などを用いて、Websocket 通信を通常のソケット通信に変換しなければなりませんでした。今回 qemu VNC がWebsocket 対応したことにより、従来のような面倒な変換なしにブラウザ経由で VNC を利用できます。HTML5対応のブラウザであれば、Java プラグインなど無しに気軽に VNC を利用できるようになるのでとても便利です。
関連コミット:
http://git.qemu.org/?p=qemu.git;a=commit;h=7536ee4bc3da7e9b7fdadba5ba6ade63eaace430
使い方
qemu の configure 段階で vnc-ws を有効にします。
$ ./configure --enable-vnc-ws以下のようなエラーがでるかもしれません。
ERROR ERROR: User requested feature vnc-ws ERROR: configure was not able to find it ERRORその時は、gnutls-devel パッケージをインストールします。
# yum install gnutls-devel無事にインストールが済んだら、libvirt XML ファイルを編集しましょう。
コンパイルした qemu を使用するため、emulator タグで qemu の path を変更します。
また、qemu に "-vnc :1,websocket" オプションを渡すためのタグを追加します。ここで、"1:" はディスプレイポート番号です。"0:" だと既存のディスプレイと重なるかもしれないので、ずらしてあります。
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'> ... <devices> <emulator>/usr/local/bin/qemu-system-x86_64</emulator> ... </devices> <qemu:commandline> <qemu:arg value='-vnc'/> <qemu:arg value=':1,websocket'/> </qemu:commandline> </domain>
仮想マシンを起動し、novnc.com にアクセスします。
noVNC.com は HTML5(Canvasなど) と Websocket で実装された、Web ベースの VNC クライアントです。 ブラウザは必ず HTML5 対応の新し目のブラウザを使いましょう。
右上の "Connect" ボタンをクリックし、
Host : 127.0.0.1
Port : 5701
を入力します。ポート番号は、上記で設定したディスプレイ番号に 5700 を足したものになります。今の場合だと、ディスプレイ番号 "1" + 5700 = 5701 です。
接続できると、こんな感じで、画面が表示されます。Chrome の中で Firefox を動かして見ました。
せっかくなので、iphone と Nexus 7 でも試して見ました。
Nexus 7
iphone
自宅の WiMAX環境では、iphone は重くて使い物になりませんでした。Nexus 7 もキーボードがいまいち使いにくかったです。
ともあれ、VNC on Websocket ではブラウザさえあれば、どこからでも VNC で画面転送できるのは便利です。家の仮想マシンを VPN 接続で iphone から操作する、なんてもこともできます。
余談
SPICE の HTML5 クライアントはないのかな?と思ったらありました。
HTML5 - SPICE
qemu が Spice on Websocket に対応していないので、 Websockify が必要です。